バレエ指導における解剖学の生かし方(日本流)
日本のバレエレッスンの特徴は、何と言っても
「誰でも受けられる」
こと。
自由と言うことも出来ますし、バレエ向きかどうかは考慮されない、とも言えます。
既存のバレエメソッドが対象としているのは、バレエ向きな身体条件や性格などを満たした生徒です。
そういう生徒を選ぶためにオーディションをするので、合格しない生徒は、ものにならない可能性が高い、と入り口で判断されます。
判断ミスの可能性はゼロではないでしょうが(ディアナ・ヴィシニョーワは2回落ちている)、学校としてものになりそうな生徒から入れて定員を確保するのは順当なやり方です。
特に国立の場合、税金を無駄には出来ない。
条件を満たしている、とは、
「言えば出来る生徒を選んでいる。」
と言うこと。
「ターンアウトして!」
と教師が言えば、
「はい、出来ました。」
みたいな。
極端ですが、そういうことです。
で、そういう生徒であることが前提で、上達の階段を登るのに使われるのさがバレエメソッドです。
で、特定のバレエメソッドを修得した教師が、日本で指導したらどうなるでしょうか?
生徒のほとんどは、オーディションに受かる条件を満たしていません。
なので、
「ターンアウトして!」
と言ったところで、
「全然開きません(> <)」
みたいな状況も十分あり得るわけです。
そうなると、メソッドに忠実であることの意味がなくなってしまいます。
教科書的には「正しい」内容を伝えようとしても、生徒はそれを受け入れられないわけです。
無い袖は振れない。
それを生徒のせいにすることは出来ません。
もし、メソッドに忠実に指導するのであれば、本家本元がやっているのと同じ基準でオーディションをしなければ、
ほんとうの意味での「忠実」ではなくなってしまいます。
だから、メソッドが前提としているオーディションをしない時点ですで忠実ではないのです。
なので、バレエ向きではない生徒が前提になっているのが日本です。
そして、その生徒にどうやってバレエを教えるかというメソッドは存在しません。
個々の教師の創意工夫の範囲ではあるかも知れませんが、特定のメソッドとしては存在しません。
すると、次の二つに分かれます。
1) 伝統に忠実であろうとする教師
2) バレエ以外の知識を取り入れようとする教師
2の典型が、解剖学やピラティスなどの学習につながります。
それで、予想通りの良い結果が得られているなら良いのですが、もし今ひとつ生徒の上達が計れていないとすると、そこに新たな問題が潜んでいます。
続く。
↓
https://balletup.com/?portfolio=how-to-use-anatomy-in-ballet-3
最後までお読み頂きありがとうございました。
長岐裕之
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